ゼロ秒思考のメモ書き1000枚で思考の質が変わった件~(2)思考の速さと質が向上する3つの理由~

 

前回の記事(ゼロ秒思考のメモ書き1000枚で思考の質が変わった件~(1)私に起こった3つの変化~)では、赤羽雄二さんの著書「ゼロ秒思考」で紹介されている「メモ書き」を実践して起こった3つの変化を紹介しました。メモ書きを実践して、思考の速さと質が格段に高めることができました。これは、メモ書きのメソッドそのものによってもたらされる効果だと、私は感じています。そこで今回は、メモ書きメソッドで、なぜ思考を速さと質が高まるのかについて、3つの理由を紹介します。

メモ書きが思考を加速する仕組み

 

 (1)まず最初に「問いを立てる」仕組みがある

メモ書きを始めて得られた重要な気付きの一つは、「普段いかに明確な問いに基づかない思考をしていたか」です。明確な問いを立てず、思いつきで堂々巡りの思考をしていた、ということです。
「普段の思考で問いを立てられていなかった」ということは、目的地を知らずに旅に出てしまうようなものです。そんな愚かなことを、どうやら人は簡単にしてしまうらしい、というのが、ゼロ秒思考から私が学んだことの一つです。
メモ書きメソッドでは、次の1分間で書くメモにタイトルをつけます。そして、このタイトルは疑問文の形で書くとよい、と紹介されています。タイトルをつける、という行為は、思考の目的地を定めることです。この目的地設定が、メモ書きメソッドの1つめのポイントだと感じています。

 

 (2)1分間は立てた問い「だけ」に向き合う仕組みがある

「思考とは、思いつくこと」これもメモ書きの実践で私が学んだことの一つです。世の中には「ロジカルシンキング」という言葉もありますが、「『論理的な問い』に対して思いついたこと」とか「思いついたことを『論理的に組み立てた』もの」だと感じるようになりました。思考の本質は「思いつく」ことであって、論理的に思いつく、などというのは、少なくとも私にはできないからです。
そうなると、「思いつく」という行為をどれだけコントロールできるが、思考の速さと質を高める上での肝となります。では、思いつきの何をコントロールすべきでしょうか。思いつきの悪いところは、すぐに脇道にそれることだ、と私は思います。
例えば、職場のチームワークに問題があると感じていて、それについて考えるとき。「もっと年長者が他のメンバーのサポートを買って出る雰囲気がいるんじゃないか。でも○○さんを説得して、サポートを増やしてもらうの、難しそうやなぁ。」などと考えますが、これも脇道にそれています。打ち手案を出すことと、打ち手案を評価することがごっちゃになっているからです。思いつきの思考は、こういったことに陥りがちなのです。メモ書きであれば、「チームワークを良くするためにできる方策は?」「方策案1の障害は?」「方策案2の障害は?」「方策案1の障害を除く案はある?」といった形で、思考の順序立てた思考ができます。
メモ書きメソッドで得られる「立てた問いだけに向き合う仕組み」とは、まさしく思いつきを方向付けてコントロールする手法です。「思いつき」の自由な思考は残しつつ、問いによって考えの道筋をつけてやる、という点がポイントです。

 

(3)「次の問いへ移るか」を意識的に選択させる仕組みがある

メモ書きメソッドに従うと、1分間のメモ書きを実施し、書き足りない場合は同じタイトルで2枚目のメモを書きます。そうでない場合は、次にどんな問いを立てるかを考えます。
つまり、今考えるべきはこの問いか、別の問いか、という選択を迫る方法だということです。
考える時間にタイムリミットを設け、その時間は立てた問いに集中する。その後、次の問いをどうするかを選択させる。というシンプルながら強力な仕組が、メモ書きメソッドには備わっています。

 

メモ書きはトレーニング法ではなくパワフルな仕事術

「ゼロ秒思考」の副題は「頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング」というものですが、私の実感としては、「本来の頭のよさを発揮するための世界一シンプルな方法」です。メモ書きはゼロ秒思考のためのトレーニングであって、ゼロ秒思考を獲得できればメモ書きは不要だよ、とは思わないからです。メモ書きそのものが「自分本来の力を最も活用できる思考法」そのものであって、いかにこの方法に習熟できるかが大事だ、と思うからです。
前回の記事でも、メモ書きのメソッドを「セルフ・ファシリテーション」と表現しました。ファシリテーションは会議の効率化のためのスキルですが、メモ書きは一人会議の効率化スキル、と呼べそうです。頭を使う仕事の速さと質を高めたい人にとって、習得必須の方法論だと思います。

 

さいごに

メモ書きで思考の速さと質が上がる理由について解説しました。実は、この理由については、「ゼロ秒思考」の書籍の中ではほとんど解説されていません。
筆者の意図を次のように推測しています。理由などというのは、この方法を実践しさえすれば理解できることであって、大事なのはメソッドに従って実践することだ、と。実際に「ゼロ秒思考」は読者がメモ書きを実践する上で必要な情報が余すところなく書いてある、非常に「実践寄り」の書籍なのです。
という訳で、ゼロ秒思考を読んだことがない、買ってみたものの実践したことはない、という方!とにかく本に書いてある方法を信じて真似をしてみてほしいと思います。すぐにそのメソッドの威力に気付き、このメソッドなしでの思考なんてムダに感じるようになるでしょう。

ゼロ秒思考のメモ書き1000枚で思考の質が変わった件~(1)私に起こった3つの変化~

「メモ書き」とは、赤羽雄二さんの著書『ゼロ秒思考』で紹介されているメソッドです。素早く深く考える、まさに「ゼロ秒思考」といえるレベルに到達するための方法として紹介されています。
詳細なメソッドは書籍を参照いただくとして概要のみ抜粋すると、

●A4用紙を横向きに使用し
●左上にタイトルを(できれば疑問文で)書き、
●タイトルについて感じたことをそのまま書き出し
●1分間で4~6行(1行あたり20~30文字)を書く

というシンプルなメソッドです。
「ゼロ秒思考」では、これを毎日10枚書くことを推奨しています。
私はこれまで1000枚ほどメモ書きをしてきました。そして、思考の速さと質を格段に向上できましたし。メモ書きなしの考え事はありえない、と思うに至りました。そこで今回は、メモ書き1000枚で私自身に起きた3つの変化を紹介します。

(1) 紙とペンがない状態で考えたくなくなった

メモ書きを実践することで、私の思考は以前より格段に速くなりました。スピードアップの理由は、「メモ書きトレーニングの成果が出たから」というよりは、「メモ書きという思考メソッドがパワフルだから」だと感じています。
しかし、このメソッドには唯一、弱点があります。「紙とペンが必要」なのです。紙とペンさえあれば素早く思考できる、ということを知ってしまった今では、手元に紙とペンがない状態で考え事をするのはあまりに非効率で、嫌になってしまいました。(ちなみに、『ゼロ秒思考』では、常に紙とペンを携帯することを推奨しています。)

 

(2) 漠然とした不安も10分で解消できるという自信がついた

メモ書きメソッドで思考してみて、自分の思考力の高さにびっくりする、という体験を、これまでに何度もしてきました。問題意識が漠然としか感じられていないテーマでも、メモ書きを5枚も書けば、5分前には想像もできなかった良い打ち手が出てくるのです。
「5分前には思いもよらない」「めちゃくちゃ良い打ち手が」「自分の頭から出てくる」というインパクトは相当なものです。
そして、そういった経験が積み重なることで、「今なんとなく手ごわいと思っているこの問題も、5分とか10分集中してメモ書きしたら打ち手が見えてくるだろう」と思えるようになりました。今は解決策が見えていなくても、メモ書きなら解決できそうな気がする、という自信は、非常に心強いものです。

 

(3) 他の人と話をするときも書き出すようになった

メモ書きをして気付いたことは、「メモ書きでの思考がいかに思考の速さと質を高めるか」つまり、裏を返せば、「頭の中だけで考えることが、いかに思考の速さと質を落としているか」ということです。
そうなると、他の人と話す際でもメモ書きをしないともどかしく感じるようになります。
メモ書きを始めてから、私は会議にバインダーを持参すうりょうになりました。(『ゼロ秒思考』でも推奨されています。)5~6人くらいまでの会議なら、紙に書いても十分に共有できます。まさにみんなでメモ書きをやりましょう、という構図です。
メモを会議に持ち込むことで生産性が上がったと感じていますし、私を見て、会議でのメモを取り入れたメンバーも出てきました。

 

ちなみに。ファシリテーションとメモ書きの共通点

メ会議を効率的に実施するスキルとして「ファシリテーション」というものが知られています。
ファシリテーションでは、「空中戦を避け、地上戦にも持ち込もう」と頻繁に言われます。議論の中の言葉だけのやりとりが「空中戦」、板書を見ながら議論し、議論の内容をさらに板書する方法が「地上戦」です。『空中戦は議論の堂々巡りを引き起こすし、一旦考えたことが共有されずに消えていきがち。それが地上戦に持ち込まれると、議論のプロセスが整理され、共通の目線での議論が促進できる』という算段です。こういった地上戦の会議になれると、空中戦の堂々巡りの会議に嫌気がさすものです。
この地上戦の考え方は、まさにメモ書きに通じるものです。個人で考える場であっても、空中戦は堂々巡りになるのです。そういった意味で、メモ書きは「セルフ・ファシリテーション」とでも呼ぶべき思考メソッドだな、と感じています。

 

さいごに

今回は、ゼロ秒思考のメモ書きを実践して、私に起こった3つの変化を紹介しました。次回は、メモ書きのメソッドがなぜ思考の速さと質を高めるのか、その理由について考察します。

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